日本臨床細胞学会雑誌
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頸部血管肉腫の1例
笠井 久豊前田 勝彦伊藤 真子中野 洋上森 昭石原 明徳
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1997 年 36 巻 5 号 p. 545-549

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抄録

穿刺吸引細胞診にて診断が困難であった左頸部に発生した血管肉腫を経験したので報告する.症例は71歳女性. 左頸部腫瘤に気付き来院.穿刺吸引細胞診では出血性および炎症性背景の中に集塊状の腫瘍細胞が観察された. 細胞は小型で結合は強く, 一部でロゼット様の構造が認められた. 核は類円形から楕円形でN/C比は大きく, また一部の細胞に核溝が認められた.
切除標本における免疫組織化学では第VIII因子関連抗原, 内皮細胞CD31が陽性であった.電子顕微鏡による検索ではWeibel-Palade小体が認められ, 血管肉腫と診断された.
血管肉腫は分化度により多彩な像を呈し, 診断の困難なことがあるが, 検体の性状, 細胞の出現様式などから血管肉腫を念頭に置き, 確定診断のために免疫組織化学や電子顕微鏡による検索を行っていく必要があると考えられた.

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