日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
体腔液細胞診における悪性中皮腫, 腺癌, 反応性中皮細胞の鑑別
ヒアルロン酸結合蛋白を用いた細胞化学染色
三浦 弘守宇月 美和一迫 玲澤井 高志
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 36 巻 6 号 p. 576-582

詳細
抄録

ヒアルロン酸と特異的に結合するヒアルロン酸結合蛋白 (以下HABP) にビオチンを標識して細胞化学染色を行い, 反応性中皮細胞の性質および悪性中皮腫と腺癌細胞との鑑別への有用性を検討した. 症例は心嚢水, 胸水, 腹水など合計42例で内訳は悪性中皮腫3症例 (上皮型2例, 混合型1例), 腺癌22症例 (肺癌10例, 乳癌8例, 胃癌2例, 膵臓癌1例, 胆管癌1例), 非癌例17症例である. 結果は悪性中皮腫では3症例中3症例 (100%) が陽性を示し,腫瘍細胞の細胞膜と細胞質内全体に陽性所見が認められた. 腺癌細胞については22症例中2例 (9.1%) が陽性を示したが, この2例は乳癌症例で, その他の腺癌はすべて陰性であった. 非癌例17症例および癌例14症例にみられた反応性中皮細胞では陽性率が各症例で13~100%(平均58.9%) で陽性となり, 陽性細胞と陰性細胞が混在して出現していた. また個々の陽性細胞においても陽性反応の強弱や多彩な染色態度を示していた.
以上の結果により, HABPを利用した細胞化学染色は悪性中皮腫に対して特異性が高く, 腺癌との鑑別診断や反応性中皮細胞の同定に有用であると思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top