1997 年 36 巻 6 号 p. 589-592
子宮頸癌 (扁平上皮癌) 由来の細胞が, 自然尿細胞診標本中に認められることがある. これらの症例 (混入例) の細胞像に特徴があるか否か検討した.対象とした混入例は8例で, これと比較するために子宮頸癌の膀胱浸潤例4例, 膀胱原発扁平上皮癌症例5例を用いた. 結果として, 混入例では, 他の症例に比較して, 扁平上皮癌細胞や好中球の数が少なく, それら出現細胞の多くが島状の集団として点在するように認められた. 女性の場合自然尿中に扁平上皮癌細胞を認めた場合は, 必要のない混乱を避けるためにも, この結果を参考にして原発巣を考えていく必要があると考えられた.