日本臨床細胞学会雑誌
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捺印細胞診における卵巣漿液性腺腫, 境界悪性, 腺癌の形態計測
待木 信和佐々木 寛惣田 隆生
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1997 年 36 巻 6 号 p. 599-607

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抄録

卵巣漿液性腺腫10例, 境界悪性6例, 腺癌24例の腫瘍捺印細胞診検体を用いて, 形態計測を行った. 検討した形態因子は, 細胞核因子 (10因子) と細胞集団構造因子 (5因子) に分け, 多変量解析で因子の重要性と予測判別式を作製し正診率を求めた. 核因子のみで求めた判別式による正診率は77%であり, 腺腫の84%, 境界悪性の8%, 腺癌の92%が正診された. 境界悪性の多くは腺腫と誤診された. 集団構造因子による診断正診率は73%であり, 腺腫の55%, 境界悪性の15%, 腺癌の99%が正診された. 境界悪性の多くは腺癌と誤診された. さらに全因子を対象にして多変量解析を行うと核因子は腺癌と他病変との鑑別に, 集団因子は腺腫と他病変の鑑別に有用であり, 特に核重積性, 集団辺縁核突出, 飾状構造と核縁肥厚, 核クロマチン所見が病変の鑑別に重要であった. 診断正診率は90%であった. 良性の正診率は89%, 境界悪性は64%, 悪性は100%であった. 結論として, 卵巣漿液性腫瘍では捺印細胞診を用いて腺腫と腺癌との鑑別診断は可能と示唆されたが, しかし境界悪性の診断, 特に腺癌との鑑別に限界があるように思われる.

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