日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
甲状腺MALTリンパ腫の1例
神崎 由佳稲本 和男細川 喜美子林 孝俊布村 眞季藤田 葉子上林 孝豊若田 泰
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 36 巻 6 号 p. 613-617

詳細
抄録

甲状腺に発生したmucosa-associated lymphoid tissue (MALT) リンパ腫の1例を報告する.症例は80歳の女性で, 橋本甲状腺炎で治療中であった.
穿刺吸引標本は, 上皮成分はほとんどみられず, リンパ球系細胞が多数認められ, 形質細胞も混在していた. それらのリンパ球は小型から中型で, 核のくびれや大きな核小体を有する異型の強いリンパ球が比較的多数認められた. 捺印標本は, N/C比が大きく粗なクロマチンで, 軽度の核形不整がみられる中型の細胞を主体とする細胞像で, 芽球や形質細胞も混在していた. MALTリンパ腫と橋本甲状腺炎における反応性リンパ球増生とは鑑別困難であったが, 上皮成分がきわめて少なかったことが重要な鑑別点となった.
細胞診標本のみでのMALTリンパ腫の診断は困難な場合もあるが, 細胞所見および発生部位, 臨床経過を考慮すれば診断可能であると考える.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top