日本臨床細胞学会雑誌
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類上皮肉腫の2例
佐々木 学石田 剛堀内 啓元井 亨福島 純一元井 紀子岡 輝明坂本 穆彦
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1997 年 36 巻 6 号 p. 627-632

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抄録

われわれは類上皮肉腫 (epithelioidsarcorna;ES) の2例を経験し, 電顕および免疫組織化学的所見とあわせ, その細胞学的特徴について報告した。そしてこれまで報告されている細胞像と比較し, 本症の特徴的な細胞所見について検討した。症例1は58歳, 男性.主訴は左第2指の多発性皮下腫瘤.症例2は27歳, 男性.潰瘍を形成する左下腿の隆起性病変で周囲に軟部腫瘤を伴っていた.組織学的には両者ともESであった.いずれの症例とも細胞像は類似しており, これまでの報告とあわせ, 以下の所見がESの細胞学的特徴であると考えられた.すなわち1) 腫瘍細胞は上皮様細胞および紡錘形細胞より成る, 2) 上皮様細胞は大型で円形, 類円形ないし多稜形を示し, ライトグリーン好性の豊かな細胞質を有する, 3) 奇怪な異型の強い多核細胞がみられない, 4) 核はしばしば偏在する, 5) 上皮様細胞は緩い結合性を示すことがあり, 平面的な配列を呈すなどが挙げられる.さらに, 本腫瘍2例の細胞像を詳細に観察した結果, 上記の細胞所見に加え, さらに細胞質の棘状突起がESに特徴的な所見と思われた.そして電顕および免疫組織化学的所見より細胞学的な棘状突起の形成に中間径フィラメントの関与が示唆された.これらの細胞所見は組織学的に鑑別が問題となる肉芽腫性炎症, 良性および悪性線維性組織球腫, 扁平上皮癌, 滑膜肉腫そして線維肉腫などとの鑑別に有用であると思われた.

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