37 巻 (1998) 3 号 p. 298-304
胸部CT検査によって発見された肺の末梢発生小型腺癌 (CT発見肺腺癌) 手術例10例の細胞所見について, 最大径20mm未満の高分化腺癌との比較を中心に検討を加えた. CT発見肺腺癌は大きさ10~20mmで, いずれも高分化腺癌であり, 乳頭型と気管支肺胞上皮型がそれぞれ5例であった. 細胞診所見では, 対照症例の高分化腺癌に比較して異型が弱いが,(1) 腫瘍細胞は孤立散在性に出現する場合が多く, また集塊を形成するときは平面的で小集塊のことが多い,(2) 個々の細胞は小型で, N/C比はやや低い,(3) 細胞質はライトグリーン淡染性で泡沫状のものが多い,(4) 核は円形~類円形で, 軽度の大小不同性を認める. また, 核縁はやや肥厚しているが平滑のものが多く, 一部に切れ込みを認める,(5) 核クロマチンは微細顆粒状~細顆粒状で, 分布は均等である,(6) 核内封入体を有する例が目立つ,(7) 核小体は目立ち, 1個~ 数個認められる,(8) 背景に大食細胞を認める場合が多い, などが特徴的であった. とくに, 核所見において核クロマチンの増量, 核縁の切れ込み, 核小体が目立つこと, などの所見は診断上特徴的であり, かつ細胞診検査は本症のような診断困難な小型肺病変に対し有用であると考えられた.