日本臨床細胞学会雑誌
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腹水 (腹腔洗浄) 細胞診における悪性卵巣腫瘍細胞と中皮細胞の鑑別法としての免疫組織化学
岡本 聡今野 良高野 忠夫我妻 理重永瀬 智吉田 祐司五十嵐 司佐藤 信二矢嶋 聰
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1998 年 37 巻 4 号 p. 389-393

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抄録

腹水 (腹腔洗浄液) に出現する卵巣癌細胞と中皮細胞の鑑別診断法として, 免疫組織化学染色を行い細胞診への応用の可能性を検討した. 40例の悪性卵巣腫瘍 (漿液性腺癌11例, 粘液性腺癌9例, 類内膜腺癌5例, 明細胞腺癌9例, 未分化胚細胞腫3例, 卵黄嚢腫瘍1例, MMT2例) の手術標本 (ホルマリン固定パラフィン包埋) を対象として, Ber-EP4, HBME-1, CA125, EMAのモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色を行い卵巣癌細胞と中皮細胞の鑑i別に有用な抗体を選択した. その結果Ber-EP4とEMAが卵巣癌に対して高い陽性率を示したが, 特にBer-EP4は卵巣癌すべてにおいて80%以上を示した. 卵巣癌の組織特異性をみると, Ber-EP4は粘液性腺癌, EMAは漿液性腺癌に対し高い陽性率を示すことから, 術中所見により漿液性, 粘液性の判断を行い, 使い分けをすることの有用性が示唆された. 卵巣癌細胞と中皮細胞の鑑別に, 中皮細胞陰性であるBer-EP4を用いた免疫細胞化学染色は有用であると考えられた。

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