化生性の扁平上皮細胞や粘液細胞を伴ったWarthin腫瘍2例を経験したので, その捺印細胞像を併せ報告する. 症例はともに73歳, 男性と女性. 耳下腺腫瘍の診断にて浅葉切除術が施行され, 捺印細胞診標本を作製した. 症例1の捺印細胞診では壊死物質・リンパ球・好中球などを背景に化生性の扁平上皮細胞が大~小集塊または孤在性に多数出現し, 核には変性が認められた. また同一標本には好酸性に染まる細胞質を持つ好酸性細胞が出現していた・症例2では多量の粘液物質・リンパ球を背景に化生性の粘液細胞が小集塊または孤在性に出現しており, 核クロマチンの増量はみられなかった. 組織学的には腺管は著明に拡張し, 間質内の壊死は認められず, 腺管上皮は化生性の扁平上皮細胞や粘液細胞から構成されていた. 腺管には壊死変性様物質や多量の粘液物質としてみられた.
Warthin腫瘍にも化生性変化として扁平上皮細胞や粘液細胞が認められることがあり, このような変化が起こり得ることを認識しておく必要があると思われた.