子宮頸部カルチノイド腫瘍 (以下カルチノイド) は比較的まれな疾患で, 予後は不良といわれている. 今回われわれは本1症例を経験したので報告する.症例は30歳, 3回経妊2回経産.不正性器出血を主訴に来院した. 初診時診察では子宮頸部に直径約8cmの腫瘍と7cmの左卵巣嚢腫を認めた. さらに子宮頸部細胞診および, 組織診ではsmall cell carcinomaまたは未分化癌の所見と考えた. ここで細胞診のGrimelius染色を行ったところ細胞質に好銀穎粒が認められ, 免疫染色ではクロモグラニン, NSEが陽性であった. さらに摘出物の組織検査ではロゼット状, 索状配列を示し, カルチノイドに特徴的なnsetsやbandsを認めた. 電顕では細胞質内に200~440nmの神経分泌顆粒を認めたため, カルチノイドと確定診断した. 本症例はneoadjuvand chemotherapy後根治手術, さらに放射線療法を施行したが, 初診から9ヵ月間で再発により死亡した. このように小型で分化度の低い小細胞癌の所見を認めた場合, カルチノイドの可能性を考慮し診断することが, 予後改善につながるものと考える.