日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部カルチノイド腫瘍の1症例
野田 雅也伊東 英樹山下 智子芥川 典之黒木 勝円工藤 隆一水野 均宍戸 健二
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1998 年 37 巻 5 号 p. 469-474

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抄録

子宮頸部カルチノイド腫瘍 (以下カルチノイド) は比較的まれな疾患で, 予後は不良といわれている. 今回われわれは本1症例を経験したので報告する.症例は30歳, 3回経妊2回経産.不正性器出血を主訴に来院した. 初診時診察では子宮頸部に直径約8cmの腫瘍と7cmの左卵巣嚢腫を認めた. さらに子宮頸部細胞診および, 組織診ではsmall cell carcinomaまたは未分化癌の所見と考えた. ここで細胞診のGrimelius染色を行ったところ細胞質に好銀穎粒が認められ, 免疫染色ではクロモグラニン, NSEが陽性であった. さらに摘出物の組織検査ではロゼット状, 索状配列を示し, カルチノイドに特徴的なnsetsやbandsを認めた. 電顕では細胞質内に200~440nmの神経分泌顆粒を認めたため, カルチノイドと確定診断した. 本症例はneoadjuvand chemotherapy後根治手術, さらに放射線療法を施行したが, 初診から9ヵ月間で再発により死亡した. このように小型で分化度の低い小細胞癌の所見を認めた場合, カルチノイドの可能性を考慮し診断することが, 予後改善につながるものと考える.

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