日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診で診断した乳癌子宮転移の2例
今井 愛上坊 敏子今井 雅夫金井 督之豊永 真澄大野 英治蔵本 博行
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1998 年 37 巻 5 号 p. 475-480

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抄録

乳癌の子宮への転移は非常にまれである.今回われわれは乳癌由来の転移性子宮癌の2例 (症例1は浸潤性乳管癌, 症例2は浸潤性小葉癌) を経験したのでその内膜細胞診所見を報告する.2症例の内膜細胞診の細胞学的特徴は以下のごとくである.
1.多数の正常子宮内膜細胞の中に少数の腫瘍細胞が出現.
2.背景の汚染は軽度.
3.核クロマチンは増量し微細穎粒状で, 1~2個の核小体を有する.
4.集塊は小型である.
5.intracytoplasmic luminaを認める.
6.症例2ではindian fileを認める.
他臓器癌の子宮転移においては, その細胞学的特徴から, しばしば原発巣を推定することが可能である.われわれの経験した2症例では, intracytoplasmic lumina, indian fileの出現が乳癌原発の転移性子宮癌を診断するのに有用な所見であった

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