日本臨床細胞学会雑誌
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妊娠初期において, 乳癌との鑑別困難であった乳管腺腫の1例
片岡 健後藤 孝彦春田 るみ尾田 三世小川 勝成有広 光司岩本 俊之
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1998 年 37 巻 5 号 p. 490-494

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抄録

妊婦に乳腺腫瘤を認めた場合, 特に妊娠初期は胎児への影響から確診が得られない限り手術も躊躇され, しばしばその診断・治療に苦慮する. 最近われわれは妊娠初期に認めた乳腺腫瘤に対する細胞診で, 乳癌と鑑別困難であったまれな乳管腺腫の1例を経験したので報告する.
症例は39歳女性 (妊娠6週), 両側乳腺腫瘤を主訴として来院. 右乳腺腫瘍はφ2.5c大, 境界明瞭で容易に線維腺腫と診断し得たが, 左乳腺腫瘍は境界不明瞭な硬結として存在し, 細胞診にて異型細胞を認めたため, 胎児器官形成期後 (妊娠14週) を待って摘出術を行った. 細胞診上, 細胞境界が明瞭で類円形核を有し, 一部アポクリン化生を認めたが, 核異型とクロマチン増量がみられ核小体の腫大と不規則な細胞配列パターンがみられた.また櫛状構造を示す細胞増殖が高度であることから異型乳管過形成あるいは乳管内癌を疑った. しかし摘出腫瘍は淡赤褐色顆粒状の腫瘤であり, 病理組織学的には良性疾患である乳管腺腫と診断された

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