日本臨床細胞学会雑誌
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髄液細胞診にて確定困難であった神経皮膚黒色症の1例
品川 美和子前田 陽子清水 雅子石井 真由美三宅 洋子三浦 妙太秋間 道夫後藤 昌三
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1998 年 37 巻 6 号 p. 613-617

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抄録

髄液中に腫瘍細胞を認め組織型の確定が困難であった神経皮膚黒色症 (Neurocutaneus melanosis, 以下NCMと略) の1例を報告する.症例は1歳10ヵ月, 男児.出生児より全身に有毛性巨大色素性母斑を認める.生後1ヵ月より無呼吸発作を起こし始め, 臨床的にNCMと診断された.その後水頭症を併発し化学療法を施行するも効果はなかった.腫瘍は急速に増大, 脳死状態後, 死亡した.初回髄液細胞診では少数のリンパ球を背景に緩い結合性を示す上皮様配列および孤立散在性に腫瘍細胞を認めた.これらは小型類円形, 細胞質はきわめて狭小で淡く辺縁不明瞭, 核形不整が目立ち, 明瞭な核小体を1~2個認めclassVとしたが組織型の確定には至らなかった.2回目以降の髄液にも腫瘍細胞は継続してみられた.髄液の腫瘍細胞はmelanosisというよりmalignant melanomaへの移行を疑った.しかし明らかなメラニン穎粒はみられず, amelanotic melanomaを考えた.腫瘍細胞はHMB-45, S-100で陽性を示した.皮膚組織診ではjunctional nevus, 脳生検はmelanosisと診断された.本症例は硬膜下生検の診断であったが, メラノサイトの増生は腫瘍性であり画像的にも悪性へ移行していると考えられ, 髄液中の腫瘍細胞はそれらの存在を示唆するものと考えられた.

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