日本臨床細胞学会雑誌
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腺様基底癌の組織像を伴った子宮頸部乳頭状扁平上皮癌の1例
九島 巳樹国村 利明小野塚 精子津田 祥子諸星 利男太田 秀一
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1998 年 37 巻 6 号 p. 618-622

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抄録

子宮頸部の乳頭状扁平上皮癌 (papillary squamous cell carcinoma) と腺様基底癌 (adenoid basal carcinoma) はどちらもまれな子宮頸部悪性腫瘍である. 今回, 子宮頸部に両方の病巣が, 同時に認められた1症例を経験したので報告する.
症例は71歳, 女性で, 子宮頸部細胞診で扁平上皮系と移行上皮類似の異型細胞集塊がみられ, さらに小型で細胞質の乏しい腺様基底癌に由来すると思われる異型細胞集塊が認められた.
組織診では一部, 乳頭状に増殖する扁平上皮癌がみられたが, 生検組織標本では採取された材料が小さく, 問質浸潤が不明瞭だったので, 円錐切除で明らかな間質浸潤を確認した後, 広汎子宮全摘術が施行された.
手術材料の組織学的検索により子宮頸部に限局して乳頭状扁平上皮癌と腺様基底癌の像がみられた.
本症例では乳頭状扁平上皮癌に相当する部分と腺様基底癌に相当する部分がみられたが, これは2種類の子宮頸癌が別々に発生したことも否定できないものの, 一方の癌細胞の形質に変化が起こった可能性も考えられ, 特殊な組織型の子宮頸癌の発生に関して興味深い. 今後, さらにこのような症例を集めて, 予後, 臨床的取り扱いなどの検討が必要と思われる.

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