日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜増殖症の細胞診
細胞診による推定は可能か
紀川 純三金森 康展入江 隆皆川 幸久寺川 直樹佐々木 陽子中本 周
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1998 年 37 巻 6 号 p. 666-669

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抄録

細胞診による子宮内膜増殖症細分類の可能性を知ることを本研究の目的とした. 内膜増殖症の細胞診標本を定量的ならびに定性的に解析するとともに, セルブロック法による増殖症の細分類を試みた.
核径は類内膜型内膜癌で有意に大であったが, 増殖症と異型増殖症の間に差はなかった. 核の大小不同は病変による差を示さなかった. 核小体数は内膜癌で有意に多いものの, 増殖症と異型増殖症との間に差はなかった. 核間距離の不整は複雑型増殖症で著明であった. 3層以上の核重積は複雑型増殖症でのみみられた. 内膜増殖症に対する正診率は複雑型増殖症で高かった. 細胞診所見の数量化ならびにscoringの成績から, 増殖症病変の細胞異型を判定することは困難であるものの, 構造異型の判定は可能であることが示された. また, セルブロック法によっても増殖症病変の細分類は困難であった.
以上の成績から, 細胞診判定による子宮内膜増殖症病変の細分類には限界があることが示唆された.

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