日本臨床細胞学会雑誌
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内膜細胞診疑陽性の再検討
小田 瑞恵石井 保吉大村 峯夫石田 禮載武田 智子佐々木 寛田中 忠夫
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1998 年 37 巻 6 号 p. 670-676

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抄録

子宮内膜細胞診で構造異型を伴った乳頭状集塊が出現する場合, 内膜増殖症を推定して疑陽性-class IIIと判定している. 今回classIIIと判定された138症例, 146検体に出現する乳頭状集塊, 樹枝状集塊の構造異型を検討し以下の結果を得た.
1) 腺腔のbacktoback様構造を認める乳頭状集塊の出現率は, 組織診が著変なし17%, endometrial hyperplasia, complex 30%, atypical endometrial hyperplasia, complex 59%, 高分化型腺癌100%であった.
2) 樹枝状集塊の出現率は組織診が著変なし3%, endometrial hyperplasia, complex 4%, atypical endometrial hyperplasia, complex 46%, 高分化型腺癌100%であった.
以上よりback to back様構造などを認める乳頭状集塊を主体に, 数個でも樹枝状集塊の認められる症例は, atypicalendometrial hyperplasia, complexまたは子宮体癌が存在する可能性が高い. この様な細胞所見の認められる症例の75%がatypical endometrial hyperplasia, complex以上の病変であり, 臨床的に厳重な対応が望まれる.

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