日本臨床細胞学会雑誌
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神経鞘腫の細胞像
27例の検討より
鐵原 拓雄有光 佳苗広川 満良
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1999 年 38 巻 1 号 p. 45-49

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抄録

神経鞘腫の細胞学的特徴をより明らかにする目的で, 組織学的に神経鞘腫の診断が確定した27例の細胞診標本を対象に光顕的観察を行った. 腫瘍細胞は紡錘形で, Antoni A型の部からの塗抹標本では集塊状に出現しやすく, 束状配列 (20例中20例), 渦巻き状配列 (20例中15例) がみられ, 核の柵状配列 (20例中14例) やVerocay bodies (5例) なども観察された. Antoni B型の部からの塗抹では腫瘍細胞はシート状に出現していた. また, 細胞集塊内にはヘモジデリン, 膠原線維, 核線などがみられた. 腫瘍細胞の核形は類円形, 短紡錘形, 長紡錘形などさまざまであった. 細胞質は好酸性に淡く染まり, 細胞境界は不明瞭であった. 細胞質と思われる部には線維状構造物が全例にみられた. 今回の検討によりわれわれはAntoni B型の神経鞘腫の細胞学的特徴として, 細胞集塊内にヘモジデリンや膠原線維が存在することと, 腫瘍細胞のシート状配列がみられることを提唱したい.

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