日本臨床細胞学会雑誌
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右腋窩リンパ節の穿刺吸引細胞診がきっかけで診断された卵巣腺扁平上皮癌の1例
別府 理子日浦 昌道野河 孝充川上 洋介千葉 丈山内 政之亀井 孝子万代 光一
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1999 年 38 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

今回, 右腋窩リンパ節腫大, 痺痛を主訴とし, 卵巣に原発巣を認めた1例を経験したので報告する.
症例は, 45歳の女性. 右腋窩リンパ節腫大, 疹痛を主訴に外科を受診し, 穿刺吸引細胞診で小集塊を形成する類円型の腺癌細胞と散在する扁平上皮癌細胞を認め, 転移性腺扁平上皮癌と診断された.乳房, 消化器, 呼吸器などの臓器には異常なく, 腫瘍マーカーCA125値が217.2U/mlと高値を示したが, CA15-3値は15.5U/mlと正常域であった.骨盤部MRIで骨盤壁に接して直径5cm大の充実性腫瘤を認め, 卵巣癌IV期の診断にて手術を施行した. 摘出卵巣腫瘍の捺印細胞標本および組織標本で, 腋窩リンパ節と同様の腺房様構造を示す腺癌細胞と扁平上皮癌細胞の混在を認め, 卵巣原発の腺扁平上皮癌と診断された. その後, 末梢血幹細胞移植 (PBSCT) を併用した高用量化学療法を6コース施行したが, 残存腫瘍の急速な増大を認め, 癌性腹膜炎のため永眠した.

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