日本臨床細胞学会雑誌
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精巣に発生した複合型胚細胞性腫瘍の1例
鐵原 拓雄広川 満良有光 佳苗福岡 恵子絹川 敬吾
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1999 年 38 巻 1 号 p. 76-79

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抄録

胚細胞腫瘍の複合型である奇形癌 (胎児性癌+奇形腫) の細胞像を経験したので報告する. 患者は29歳の男性で, 8.5×7.5×8.0 cm大の右精巣腫瘍が摘出され, その捺印塗抹細胞診が行われた. 塗抹標本には胎児性癌の細胞像に一致する大型異型細胞と奇形腫の成分と思われる小型の異型性に乏しい上皮性細胞のシートが観察された. 大型異型細胞は偽乳頭状, 腺管状の集塊として, あるいは孤立散在性に出現していた. 細胞境界は不明瞭で, 細胞質はライトグリーンに淡く染色され, 顆粒状を呈していた. 核や細胞質には大小不同が目立ち, 核クロマチンは粗顆粒状で, 好酸性で不整形の核小体を1個有していた. 背景には多数の壊死物質がみられたが, 扁平上皮や毛髪, 骨成分などはみられなかった. 胚細胞性腫瘍ではいくつかの腫瘍型が混在してみられることがあるため, とくに注意深い観察が必要と思われた.

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