日本臨床細胞学会雑誌
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乳癌手術後のtamoxifen投与が閉経子宮内膜に与える影響
細胞所見について
杉山 裕子南 敦子手島 英雄片瀬 功芳秋山 太吉本 賢隆霞 富士雄横須賀 薫都竹 正文荷見 勝彦
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1999 年 38 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

乳癌術後のtamoxifen (TAM) 投与が閉経子宮内膜に与える影響を細胞診および組織診より検討した.
1980年1月から1990年12月に当院で乳癌の手術を受けた閉経後の症例中, TAM内服前, 中, 後にわたり定期的に細胞診を検討できた内服群80例を対象とし, 乳癌手術前, 後にわたり細胞診を検討できた非内服群145例と比較検討した. それぞれの群で組織学的にも検討した.
TAM内服群の子宮内膜の特徴的変化: 細胞所見; 内膜腺細胞は2種類認められた. 分泌初期内膜像類似の比較的大型の細胞と, 萎縮した小型の細胞であった. 間質細胞も大型化し, 多数出現していた. この所見は子宮内膜癌や子宮内膜増殖症の所見と鑑別可能であった. 組織所見; 問質の増殖を伴った内膜の肥厚を認めた. 内膜腺は年齢不相応に小腺管が密に増殖する所と, 萎縮している所が混在していた. 間質の浮腫, 毛細血管の増生と拡張も認めた.

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