日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
壁外性発育を呈した若年性大腸粘液癌の1例
田澤 賢一安田 政実梶原 博宮嶋 葉子篠田 玲子鴨志田 伸吾伊藤 仁堤 寛長村 義之
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 38 巻 2 号 p. 166-169

詳細
抄録

われわれは, 20歳男性に発症した, 著明な壁外性発育を示す大腸粘液癌 (以下, 粘液癌) を報告した. 術中に採取した腹水細胞診検体では, 腫瘍細胞は胞体内および細胞外に豊富な粘液基質を有し, 核の偏在化により印環細胞型を特徴とした. 組織学的に, 切除標本の表層部には通常の印環細胞癌の増殖が認められ, 浸潤に伴って大腸壁はびまん性に印環細胞型の腫瘍細胞と豊富な細胞外粘液基質が認められた. これら腫瘍細胞内外の粘液はシアロムチンが主体で, コンカナバリン-A染色, Galactose oxidase-Schiff (GOS) 染色, 免疫組織染色HIK-1083 (胃ムチン抗体) は陰性であったことから, 大腸粘膜上皮由来であると診断した. 粘液癌における壁外性発育に関して, その要因は明らかでなく, とくに本例のような若年発症型は文献上報告をみない. 転移性大腸癌との鑑別に対し, 粘液細胞学的および組織学的検討を行った. 術前大腸生検に比較し, 腹水細胞診の所見が, より原発病巣の組織像を反映していた点が診断上有用であった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top