日本臨床細胞学会雑誌
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子宮肉腫の術前細胞診断に関する検討
岡野 滋行平井 康夫梅澤 聡根本 玲子荒井 祐司竹島 信宏都竹 正文荷見 勝彦
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1999 年 38 巻 6 号 p. 522-527

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抄録

1971~1997年までに癌研究会附属病院婦人科で経験した, 子宮切除材料の組織診にて, 子宮肉腫と診断された18例 (子宮平滑筋肉腫6例, 子宮内膜問質肉腫1例, 子宮癌肉腫11例) の子宮内膜細胞診について細胞学的検討をした. 対象とした症例の平均年齢は54.5歳. 手術前に子宮内膜細胞診で悪性腫瘍の存在を診断し得た症例数は, 癌成分のない純粋な子宮肉腫である子宮平滑筋肉腫および子宮内膜間質肉腫が7例中2例 (29%), 子宮癌肉腫が11例中10例 (91%) であった. 癌腫成分のある癌肉腫では子宮内膜細胞診で高率に悪性細胞を検出したが, 純粋な子宮肉腫では, 内膜細胞診だけによる診断は困難だった. 肉腫細胞の内膜細胞診での検出のされ方について, 同所性肉腫と異所性肉腫とで比較検討した. 同所性の場合, 肉腫細胞の検出率は比較的低い (13例中6例, 46.1%) うえ, 検出された非上皮細胞の良悪性の判定も困難なものが多かった. 一方, 異所性の場合は肉腫細胞は比較的高率 (6例中5例, 83.3%) に検出され, 悪性の判定も容易であったが, その腫瘍細胞が由来した肉腫成分の組織亜型の鑑捌は困難であった.

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