日本臨床細胞学会雑誌
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膀胱原発神経内分泌癌の1例
川崎 淳市田 起代子久芳 俊幸田中 啓子高橋 美恵松田 実黒川 和男辻本 正彦
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1999 年 38 巻 6 号 p. 553-557

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抄録

自然尿中に多数の腫瘍細胞が認められた, 膀胱原発神経内分泌癌の1例を経験したので報告する.
症例は64歳男性, 肉眼的血尿を主訴として近医より紹介受診された. 初診時の尿細胞診では, 壊死物質を背景に, 小型で裸核状の腫瘍細胞が, 孤立散在性および結合性の弱い小集塊を形成し多数出現していた. また核のmoldingやindian file状およびrosette様の配列がみられるなど, 肺の小細胞癌にきわめて類似する特徴的な細胞所見であったため, 膀胱原発の神経内分泌癌と推定された. その後, 経尿道的膀胱腫瘍切除術が施行された. その病理組織所見では, 小型の腫瘍細胞が充実性に増殖しており, 免疫組織化学的にNeuron specific enolaseが強陽性を呈し, Grimelius染色で好銀性顆粒が認められた. さらに電子顕微鏡的検索でも神経内分泌顆粒が証明された. 以上の所見より膀胱原発神経内分泌癌と診断された.

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