子宮体部原発の癌肉腫は, 子宮体部悪性腫瘍において比較的まれな疾患で, 閉経後の女性に発生することが多い. 今回われわれは88歳の高齢女性にみられた子宮体部原発異所性癌肉腫の症例を経験した. 患者は不正性器出血を主訴に近医を受診し, この時の子宮内膜組織診において壊死組織の中に軟骨組織が認められ, 子宮体部癌肉腫が疑われた.再度行った細胞診では頸部, 内膜ともに, 壊死性背景に類内膜腺癌ならびに核異型を伴う扁平上皮化生細胞が出現していた. 手術標本中には扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌と同所性肉腫成分が認められた. 術前の内膜組織診で軟骨組織が認められたことと手術標本の病理所見を考慮して, 子宮体部原発異所性癌肉腫と診断した. 細胞像, 病理組織像とともに免疫組織化学的検索も含めて報告する.