日本臨床細胞学会雑誌
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腹水中に腫瘍細胞が認められた卵巣未熟奇形腫の1例
村上 信子土岐 尚之柏村 正道吉村 和晃川越 俊典杉原 耕一郎
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1999 年 38 巻 6 号 p. 608-612

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抄録

未熟奇形腫において腹水中に腫瘍細胞が認められたまれな1例を報告する.
症例は, 20歳未婚女性, 大量の腹水を伴う右卵巣原発の新生児頭大の腫瘍で右付属器切除術が施行された. 病理診断は未熟奇形腫Grade3で, 大部分において神経上皮のロゼット構造を示す像を呈していた.
腹水細胞診は陽性で, 小型円形の腫瘍細胞がシート状ないし孤在性に出現し一部にはロゼット様構造が認められた. 核クロマチンは細穎粒状に増量して1~2個の小型核小体を認め, 胞体は淡く目立たなかった. 神経芽腫や穎粒膜細胞腫との鑑別を要すると考えられた. 腫瘍内容液細胞診, 腫瘍捺印細胞診も同様の細胞像を呈した.
術後, 化学療法としてBEP療法 (Bleomycin, VP-16, Cisplatin) を6コース行い, 現在術後3年経過しているが無病生存している.

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