日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣甲状腺腫性カルチノイドの1例
増田 隆夫工藤 圭美桑原 淳石川 由起雄赤坂 喜清秋嶋 由里岡部 一裕木口 英子
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2001 年 40 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

背景:卵巣甲状腺腫性カルチノイドは, 比較的まれな腫瘍であるが, われわれは本腫瘍の捺印細胞診を観察し, さらに捺印標本の免疫組織化学を施行し得た症例を経験したので, その細胞像および捺印細胞診の有効性について報告する.
症例:64歳の女性.下腹部膨満感を主訴とし, 腫瘍マーカーは, CA125 43U/ml, CA19-942.6U/mlと若干の上昇を認めた.画像診断で, 成熟型奇形腫が疑われ開腹手術を施行.左卵巣腫瘍は成熟型奇形腫, 右卵巣腫瘍は甲状腺腫性カルチノイドと診断された.右卵巣腫瘍の捺印細胞診では, 小型で, 細胞質の狭いほぼ均一大の腫瘍細胞ロゼット状, 索状, あるいは濾胞状に配列し, 背景には, 好酸性の無構造物質が出現していた.これら腫瘍細胞はところによっては軽度の重積性があるが, 多くはゆるい結合性を示していた.また, 捺印標本の免疫組織化学では, これら腫瘍細胞の一部にchromogranin Aが陽性であった.上記の細胞所見より卵巣甲状腺腫性カルチノイドと考えられた.病理組織所見でも同診断が支持された.
結論:卵巣腫瘍の捺印細胞診は, 腫瘍診断の一助となり, 免疫組織化学の併用は確定診断に有用と思われた.

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