日本臨床細胞学会雑誌
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肺のlarge cell neuroendocrine carcinoma 2例の細胞像
松井 成明宮永 茂樹河原 亜紀北村 隆司滝本 雅文塩川 章太田 秀一
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2001 年 40 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

背景:原発性肺癌の中の神経内分泌腫瘍としては, カルチノイドや小細胞癌が挙げられる.しかし, 以前から形態的および生物学的にこれらの中間に位置する腫瘍が指摘されていた.現在のWHO分類ではlarge cell neuroendocrine carcinoma (以下, LCNEC) が新たに独立している.われわれは2例のLCNECを経験したので報告する.
症例:症例1は68歳, 男性, 左肺上葉に8.5×5.0cm大の腫瘤が, 症例2は71歳, 男性, 右上葉に1.5×1.1cm大の腫瘤を認めた.これらの細胞像は'ロゼット様構造を含む大小の細胞集団や線状集団が出現していた.腫瘍細胞の多くは類円形から紡錘形で, N/C比は高く, ライトグリーンに淡染性あるいは砂粒状の細胞質を有していた.また, 核は類円形で中心に位置し薄い核膜と繊細なクロマチンが観察された.背景には多数の壊死を認めたが, 核線の出現はわずかであった.
結論:本例の細胞像は, 従来から報告があるように腫瘍細胞の大きさ, 核形および細胞集団のそれぞれに同様の所見が認められた.また, 菲薄な核膜と繊細なクロマチンを有した類円形核や背景における核線の有無に留意することも必要と思われた.

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