日本臨床細胞学会雑誌
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蛋白濾出性腸症を伴う腸管T細胞性リンパ腫の1例
鶴田 誠司野本 豊新保 千春根岸 春美飯島 美砂小島 勝城下 尚鈴木 豊
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2001 年 40 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

背景:蛋白濾出性腸症を伴う腸管T細胞性リンパ腫enteropathy type intestinal T-cell lymphoma (ETCL) はWHO分類で独立した亜型として取り上げられているが, 本邦ではまれな疾患である. 今回その1例を経験したので報告した.
症例:51歳, 男性.下肢浮腫, 低蛋白血症を主訴とし来院. 十二指腸に潰瘍を伴った腫瘍を認め外科にて手術施行.T細胞性悪性リンパ腫の診断にて化学療法, 放射線治療を行うも全身状態は悪化し, 永眠された.
捺印細胞所見は反応性の組織球を背景に, 中型から大型の細胞が単調に出現していた. 分裂像が散見された.核は類円形でくびれや脳回状を示すものも認められた. クロマチンは粗で点状に凝集していた. 核小体は明瞭な核縁に付着するように数個認め, 胚中心芽球に類似した. Giemsa標本では, 細胞質は塩基性で, アズール顆粒を認めた.
免疫組織化学およびin situ hybridizationによりcCD3, CD56陽性, EBER陰性であった.
結論:ETCLは予後不良であり, 急速な経過をとることもあり, 迅速な診断が要求される.多数の抗体を用いたマーカーの検索ができない場合でもGiemsa標本において細胞質内にアズール顆粒を認めることにより, ETCLを推定でき, 正確かつ迅速な診断につながると考えられた.

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