日本臨床細胞学会雑誌
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頭蓋内に発生した軟骨肉腫の1例
佐藤 信也鍋島 一樹佐藤 勇一郎大野 招伸日野浦 雄之鮫島 哲朗河野 正
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2001 年 40 巻 2 号 p. 139-143

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抄録

背景:頭蓋内原発の軟骨肉腫はまれな腫瘍で, 多くは頭蓋底に発生する. 組織像が通常の脊索腫や軟骨腫様脊索腫に類似し, 鑑別診断の困難な場合があるが, 両腫瘍の予後は大きく異なり, その鑑別は臨床上重要である. 頭蓋底原発軟骨肉腫の1例を, 過去に経験した脊索腫9例, 軟骨腫様脊索腫1例との比較を通して, その細胞像と鑑別点について報告する.
症例:症例は26歳男性, 近医にてトルコ鞍背側~右側頭骨内側部にかけて腫瘍を指摘され, 当院脳神経外科にて腫瘍切除術を受けた. 術中細胞診では, 粘液様物質を背景に腫瘍細胞が散在性に出現し, 核は小型で円形から卵円形, 核の腫大や二核も認めた. 軟骨への分化を示唆する1acunar structureを認めたが, 軟骨腫様脊索腫にみられる上皮様細胞接着や典型的な担空胞細胞 (physaliphorous cells) は認められず, 軟骨肉腫と診断した. 術後の組織所見, 免疫染色所見 (S-100蛋白+, Vimentin+, EMA-, Cytokeratins-) もこれを支持した.
結論:粘液様背景や軟骨への分化を正確に捉え, さらに細胞間接着性を詳細に観察すれば, 脊索腫, 軟骨腫様脊索腫との細胞診による鑑別も可能と考えた.

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