日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
子宮頸部原発悪性リンパ腫の1例
細胞診材料を用いた免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成の検討
池澤 剛森下 由紀雄角田 肇藤原 広美深澤 政勝鈴木 悦西田 正人野口 雅之
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 40 巻 3 号 p. 257-261

詳細
抄録

背景:比較的まれな子宮頸部原発悪性リンパ腫を経験し, 細胞診材料を用いた免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成の検討を行ったので報告する.
症例:66歳女性. 5経妊, 3経産. 不正性器出血を主訴に受診した. 前壁から直径10cmの腫瘤が膣内に突出していた. 膣壁擦過細胞診では, 壊死性背景の中に大型で一部核縁不整, 核クロマチン増量した裸核様の腫瘍細胞が出現していた. 出現細胞量としては少ないものの, 腫瘍細胞の異型の程度, 上皮性結合を示さず散在傾向を呈することによりClass V悪性リンパ腫と細胞診断された. 生検にても, びまん性大細胞性B細胞型の悪性リンパ腫と診断された. 化学療法施行後, 腫瘍縮小が認められ子宮摘出が行われた. 捺印細胞診標本, 生検標本, 手術標本よりDNAを抽出し, PCR法を利用した免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成を解析した. いずれの標本からも同一の長さの単一バンドを確認することができた.
結論:組織標本と同様に細胞診標本を用いた免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成の検索は可能であり, 悪性リンパ腫の細胞診断の補助として有用である.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top