日本臨床細胞学会雑誌
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肺大細胞神経内分泌癌の細胞像
岩崎 聖二川村 公彦小林 幸弘松本 武夫児玉 哲郎永井 完治鹿股 直樹長谷部 孝裕横瀬 智之落合 淳志
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2001 年 40 巻 4 号 p. 317-323

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抄録

目的:肺大細胞神経内分泌癌 (Large cell neuroendocrine carcinoma以下LCNEC) の細胞学的特徴を見い出すことを目的に細胞像の検討を行ったので報告する.
方法:LCNECと診断された24例の腫瘍捺印標本を用いて検討を行った.
結果:背景は壊死性で腫瘍細胞は結合性が弱く, 孤立性および集塊を形成していた. 孤立性の腫瘍細胞は裸核状を呈する変性細胞であった. 集塊は重積が軽度で比較的平面的であった. ロゼット様配列を多くの症例に認めた. 細胞質は淡明で, 核は小型から中型で中等度の大小不同を認めた. 核形は類円形から楕円形で長楕円形の核も認め, 核縁は薄く円滑であった. クロマチンは細穎粒状で比較的均等に分布し, 比較的明瞭な核小体を認めた. 核分裂像を示唆する所見が得られたが, 細胞診標本中の壊死や変性細胞の核との鑑別は困難であった.
結論:組織学的にLCNECと鑑別を要する腫瘍は非定型カルチノイド, 小細胞癌などの神経内分泌腫瘍や低分化非小細胞癌などが挙げられるが, 細胞学的にも同様と考えられる. 今後の課題として他の神経内分泌腫瘍や低分化癌との鑑別や擦過, 喀痰における細胞学的検討が必要と思われる.

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