日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
腹腔内に転移をおこした臀部原発多形型横紋筋肉腫の1例
大原 栄二高橋 保植田 庄介三谷 美湖森木 利昭黒田 直人園部 宏大朏 祐治
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 40 巻 4 号 p. 368-371

詳細
抄録

背景:横紋筋肉腫が腹腔内に転移をおこすことはまれである. 臀部に発生した多形型横紋筋肉腫が腹腔内に転移をおこし腹水中に腫瘍細胞が認められた症例を経験したので報告する.
症例:28歳, 男性. 左臀部の腫脹と痔痛で発症し, 生検により多形型横紋筋肉腫と診断され腫瘍切除術が施行された. 術後化学療法を行い経過観察されていたが1年後に腹水をともなう腹腔内腫瘍が認められた. 腹水細胞診では, 多形性の強い腫瘍細胞が孤立散在性あるいは小集塊状に出現していた. 横紋構造は認められなかったが, 病歴から横紋筋肉腫の転移が疑われた. 組織像は臀部の腫瘍と類似し免疫染色では横紋筋のマーカーが陽性であった.
結論:転移経路にも興味がもたれた症例で, 腹水細胞診では多形型肉腫の所見であったが, 横紋構造は認められず確定診断は困難であった. 診断には免疫染色の補助が必要と思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top