日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
腺腫様甲状腺腫を合併した慢性甲状腺炎の1例
浅利 智幸奈良 幸一細部 貞廣斎藤 謙
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 40 巻 4 号 p. 372-377

詳細
抄録

背景:慢性甲状腺炎では, 時に濾胞上皮細胞が核異型を伴うため, 悪性細胞との鑑別が重要である. また, 甲状腺の多結節病変の診断においては, 良性病変と悪性病変とが共存している可能性も考慮する必要がある.
症例:患者は41歳, 女性. 近医で甲状腺腫を指摘され, 平成9年12月当院外科を受診. CT, US像で腺腫様甲状腺腫が疑われた. 経過観察のCT像で大きさが増大し, ホルモン値の充進がみられたため, 平成12年3月に右甲状腺亜全摘が施行された. 摘出された右甲状腺には, 大結節1個と小結節が数個認められた. 大結節の擦過細胞診は, 慢性甲状腺炎が疑われた. 小結節の擦過細胞診は, リンパ球が少数みられる中に, シート状配列や小濾胞構造を示す細胞集塊が認められた. これらの細胞は細胞質が顆粒状で, 核の大小不同, クロマチンの増加が著しかった. 慢性甲状腺炎の際の濾胞上皮よりも核異型が強くみえて, 悪性細胞も考えられたが, 核クロマチンパターンが一様なため悪性と断定できなかった.
結語:本症例のような核異型の強い濾胞上皮細胞の診断には, follicular carcinoma, oxyphilic cell typeの合併を否定しなければならない. 背景のリンパ球に加えて, 核クロマチンパターンや細胞質所見が重要であると考えられた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top