日本臨床細胞学会雑誌
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ワルチン腫瘍の細胞診
組織像からみた細胞像
森永 正二郎折笠 英紀降幡 雅子中山 洋一河野 健史山本 由紀子長渡 久美古澤 亜希子
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2001 年 40 巻 4 号 p. 391-396

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抄録

目的:ワルチン腫瘍の組織像からみて, その穿刺吸引細胞診の所見がどのように解釈されるかを明らかにする.
病理所見:主に円柱状の好酸性細胞とリンパ組織からなり, 乳頭状, 管状, 嚢胞状に発育する. 上皮は, 時に扁平上皮や杯細胞, 線毛細胞への化生を示す. 間質には, リンパ球のほか, 形質細胞, 組織球, 好中球, 肥満細胞がみられる. 嚢胞内には粘液, 壊死物質, 脱落変性した好酸性細胞, リンパ球, マクロファージ, 好中球, 同心円状構造物, コレステリン結晶などが含まれる.
細胞所見と問題点:組織上の構成成分のいずれもが出現しうる. そのうち好酸性細胞とリンパ球がそろえぼ, 診断は比較的容易であるが, 実際には嚢胞内容液が採取されてくることが多い. 好酸性細胞自体は好酸性細胞腫などワルチン腫瘍以外でも出現しうる. 嚢胞内容液が採取されてきた場合には, 脱落した好酸性細胞の同定が診断の決め手となる. 壊死物質や粘液も特徴的だが特異的ではなく, 壊死性悪性腫瘍との鑑別が問題となる. 化生性扁平上皮細胞は扁平上皮癌との鑑別が, リンパ球優位の場合には正常リンパ節, 悪性リンパ腫などとの鑑別が問題となる.
結語: 好酸性細胞の同定を軸として, 注意深くその他の所見を捕らえ, 鑑別を行えぼ, 高い精度でワルチン腫瘍の推定診断が可能である. 細胞診によって推定診断ができれば, 手術の適応やその範囲決定といった治療方針に大きく影響するので, この腫瘍を認識し, 他の腫瘍と識別することはきわめて重要である.

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