40 巻 (2001) 5 号 p. 531-539
目的:乳管内に発生する種々の上皮増殖性病変について, 穿刺吸引細胞診の診断能および細胞所見の特徴を検討した.
方法:中等度以上の乳管過形成, 異型乳管過形成 (ADH), 非浸潤性乳管癌 (DCIS) について, 細胞診断能の検討を行った. 細胞所見に関してはBibboら, およびMasoodらによる二種類のスコアを用いて比較した.
成績:超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診では, いずれの病変においても十分な細胞量が得られた. 腫瘤触知例が非触知例に比して細胞診の正診率が高い傾向にあった. 乳管過形成では診断不適検体は少ないが, 疑陽性例も認められた. DCISの診断感度は66.7%で, 浸潤性乳管癌の82.4%より低かった. 細胞所見については, 二種類のスコアいずれも非浸潤性乳管癌が高い値を示した. 具体的所見として, 非浸潤性乳管癌では集塊の結合性が低下していること, 筋上皮介在の程度が少ないこと, 細胞構成がより均質であることなどが特徴だが, 個々の所見のみによる鑑別は困難であった. ADHについては2例とも陰性判定となり, スコアも低値であった.
結論:乳管内増殖性病変の良悪性判定は多くの所見を総合して行う必要がある. 異型乳管過形成については本来微小な病変であり, サンプリングの問題も含め今後の検討を要す.