日本臨床細胞学会雑誌
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肝病変におけるCD34 (endothelial cell marker) の局在に関する免疫細胞化学的検討
とくに肝細胞癌との鑑別について
加藤 拓九十九 葉子高橋 久雄徳泉 美幸諏訪 朋子上原 敏敬
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2001 年 40 巻 6 号 p. 571-574

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抄録

目的:肝病変の中で肝細胞癌と非癌病変の細胞学的鑑別の補助診断として, CD34の免疫細胞化学的染色の有用性を検討した.
方法:材料は手術および剖検にて得られた肝病変38例 (慢性肝炎4例, 肝硬変5例, 限局性結節性過形成2例, 肝細胞癌27例) の擦過細胞診標本であり, 免疫細胞化学的 (ABC法) にCD34の局在を詳細に検討した.
成績:局在は細胞集塊中の洞様毛細血管にみられた.肝細胞癌は全例明瞭な局在を示し, 限局性結節性過形成は一部陽性を示した.その他の非癌病変はすべて陰性であった.肝細胞癌の陽性血管は高分化型で細い血管が密にみられたが, 中分化, 低分化, 未分化と進展するに従い太い血管と細胞集塊辺縁の血管が混在し, そして移行がみられた.
結論:肝病変において免疫細胞化学的にCD34の局在を検索することは肝細胞癌と非癌病変の鑑別, また肝細胞癌の分化度の程度を推察するにあたり有用であると考える.

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