2001 年 40 巻 6 号 p. 575-582
目的:乳腺細胞診における「疑陽性」判定の意味をより明確に臨床側に伝えるために欧州乳癌検診ガイドラインの細胞診カテゴリー分類 (カテゴリー分類) に注目し, その有用性について検討した.
方法:1992~2000年に当院で「疑陽性」と判定された乳腺細胞診77例をカテゴリー3 (C3) とカテゴリー4 (C4) に再分類し, それぞれの病理診断と比較検討した.また超音波, マンモグラフィによる画像診断とC3, C4分類細胞診のOverevaluationおよびUnderevaluationを比較した.
成績:カテゴリー分類の内訳は, C3;26.0%, C4;74.0%であり, C3の病理診断の内訳は, 良性;85.0%, 悪性; 15.0%, C4の病理診断の内訳は, 良性; 3.5%, 悪性;96.5%であった. 画像診断とC4を比較したOverevaluationは47.1%, 11.8%, 画像診断とC3を比較したUnderevaluationは10.3%, 5.2%であった.
結論:カテゴリー分類は, 細胞診「疑陽性」の内容をより適切に臨床側に伝えることができ画像診断の情報と総合することで乳癌術前診断をより精密にできる.