日本臨床細胞学会雑誌
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唾液腺の穿刺吸引細胞診
嚢胞性病変におけるピットフォール
鐵原 拓雄伊禮 功広川 満良工藤 浩史
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2002 年 41 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

唾液腺の嚢胞性病変を下記の4項目, つまり1) 粘液性嚢胞液がみられる場合, 2) 硝子球がみられる場合, 3) 基底細胞様細胞がみられる場合, 4) 扁平上皮細胞がみられる場合, に分類して穿刺吸引細胞診の鑑別診断およびピットフォールについてまとめた. 嚢胞性病変では診断可能な材料が十分に採取されないことが多く, 充実部の再吸引, あるいは後日再検が望まれる. 誤陰性の原因として, 粘表皮癌に代表される低悪性度群の存在があり, 臨床所見を加味し, 細胞量, 背景, 細胞形態を詳細に観察することが大切であると同時に, その存在を認識していることが重要である. また, 炎症による修飾が加わった場合, 充実性病変と思われている病変に非定型的に嚢胞が形成された場合, 異所性の唾液腺に嚢胞性腫瘍が発生した場合などもピットフォールとして留意すべきであろう.

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