日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部異形成病変の診断とその細胞生物学的基礎
西谷 巌
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2002 年 41 巻 3 号 p. 196-200

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抄録

目的:子宮頸部早期癌およびその前段階病変の擦過, 塗抹, Papanicolaou染色標本上の異形細胞および異常細胞をマークしてFluorescence in situ hybridization (FISH法) を行い, 染色体No.1とNo.17のprobeによって問期核のcopy数を算定した.
方法:病理組織学的に診断されたCIN (cervical intraepithelial neoplasia) I 9例, CIN II 12例, CIN III 14例, CIS (Ca. in situ) 14例およびMIC (micro invasive carcinoma) 12例の細胞標本に対してPapanicolaou染色後, FISH法を行い, 蛍光顕微鏡下でcopy数を算定した.
成績・結論:(1) Papanicolaou染色標本上で細胞異型の高度な細胞は, 明らかな1番および17番染色体のcopy数の異常を示し, 組織診断とも高い相関をもつことが確認された.
(2) 染色体数の減少を示すmonosomyは, 癌化過程の早期すなわち高度異形成の段階から出現した.
(3) Ca. in situ以上の段階でcopy数5個以上のaneusomyが出現した.
(4) 中等度異形成のcopy数異常の出現頻度は低く, 軽度異形成とともに良性病変の段階である.
(5) FISH法の細胞診への応用は, 染色体数異常細胞の検出にきわめて有用であり, 境界病変細胞の計量化, 客観化をもたらすと考えられる.

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