日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜機能性出血の細胞診
内膜細胞診疑陽性例の再検討から
林 玲子蔵本 博行
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2002 年 41 巻 3 号 p. 201-208

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抄録

目的:子宮内膜細胞診疑陽性のなかには内膜増殖症や内膜癌の他, 器質的異常のないものが多数含まれる. そこで内膜細胞診疑陽性例のうち機能性子宮出血例標本を再鏡検して疑陽性所見を解析した.
方法:内膜細胞診疑陽性365例中, 1年以内の組織診で器質的病変が除外できた機能性子宮出血87例の細胞診標本を分析した. その際, 複雑型子宮内膜増殖症で出現しやすい12項目およびホルモン環境, 修復細胞・化生・炎症等に留意した.
成績:(1) 疑陽性例の60.5%は器質的異常を認めず, 37.0%が機能性子宮出血例であった.(2) 87例の機能性出血例標本の再鏡検後, 747%は陰性, 25.3%は疑陽性と判定した.(3) 複雑型子宮内膜増殖症で出現しやすい項目は疑陽性群の22.7%では8項目以上が出現し, 陰性群では全例4項目以下であった.(4) 陰性群で認めた疑陽性所見の由来は, 内膜周期性変化 (37.0%), ホルモン異常 (39.9%), 修復細胞・化生・炎症等 (23.1%) であった.
結論:内膜細胞診疑陽性の37.0%を占めていた機能性出血例は, ホルモン環境・修復細胞・化生等の把握により74.7%の疑陽性を減少させ得ることが示唆される一方で, 25.3%は複雑性子宮内膜増殖症と鑑別不可能であった.

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