日本臨床細胞学会雑誌
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境界病変の細胞像
病理側からの提言
前田 昭太郎
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2002 年 41 巻 3 号 p. 209-215

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抄録

20世紀における細胞診断学の進歩はめざましく, 先駆者の努力により細胞診が補助診断法といわれた時代に終わりを告げ, 現在では境界病変の診断まで細胞診で行われるようになった. しかし, 境界病変に関しては, 前癌病変との関係を含めてその定義が必ずしも明確ではなく, したがって臓器によっては境界病変の細胞診断に難渋することが多い.
そこで, 1) 境界病変の概念, 2) 諸臓器における境界病変の問題点などを明確にし, 細胞診断学としてコンセンサスが得られる境界病変の診断基準を確立しなければならない.
そのためにも画像診断, 免疫細胞化学, DNA量測定, 分子生物学的検索などあらゆる手段が駆使され, 21世紀初頭には諸臓器の境界病変~前癌病変の本態が解明され, これら病変に対して細胞診断学としての診断基準が確立される事を期待したい.

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