日本臨床細胞学会雑誌
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唾液腺上皮筋上皮癌の穿刺吸引細胞診
ケラチンと平滑筋アクチンの二重免疫染色による検討
太田 賢一菊地 みどり森永 正二郎郡 俊勝鈴木 智子久保野 幸子小沼 利光折笠 英紀
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2002 年 41 巻 4 号 p. 251-259

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抄録

目的:唾液腺上皮筋上皮癌の細胞像の特徴と多様性を明らかにすることを目的とした.
方法:穿刺吸引細胞診施行後に切除された唾液腺上皮筋上皮癌4例を用いて, 細胞像と切除標本の組織像を対比した. また, 切除標本に対して, 種々の抗体を用いて, 免疫組織化学的に検討したほか, 細胞診標本については, ケラチン (KL-1) と平滑筋アクチン (α-smooth muscleactin, α-SMA) の二重免疫染色を施行して検討した.
成績:組織学的に問質の硬化が少なく筋上皮細胞成分の多い定型的な症例では, 異型の乏しい上皮細胞集塊とともに, 背景に多数の裸核状の筋上皮細胞がみられた. 組織学的に乳頭状構造を持つものは細胞診標本でも乳頭状構造が認められた. 腺様嚢胞癌に類似した節状構造が部分的にみられた症例では, 細胞診標本にも粘液球が見出された. 二重免疫染色では, 細胞集塊の中心部がKL-1陽性, 辺縁部と背景の裸核細胞がα-SMA陽性を示した.
結論:本腫瘍には特徴的な細胞像がみられたが, 同時に多様性もみられ, 細胞診のみでの診断は困難と思われた. パパニコロウ染色では, 上皮細胞と筋上皮細胞との区別が困難な場合があったが, 二重染色により両成分の分布が明瞭に染め分けられた.

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