2002 年 41 巻 5 号 p. 360-367
甲状腺濾胞性腫瘍の細胞診における細胞判定のカテゴリーについて検討し,「良性」,「良・悪性判定困難」,「悪性の疑い」,「悪性」の判定区分を用いる新しい報告様式を提案した. 従来, 濾胞性腫瘍は疑陽性と判定されていたが, 実際には濾胞性腫瘍における悪性の頻度は10~20%程度と比較的低いため, 新しい報告様式ではこのような症例に対して「良・悪性判定困難」の判定区分を設けた. 新しい報告様式に関する試行の結果では「良・悪性判定困難」および「悪性の疑い」の2つの判定区分における悪性の頻度はそれぞれ10.5%, 50.0%と両者間に差を認め,「良・悪性判定困難」の判定区分を設ける意義が確認された.