日本臨床細胞学会雑誌
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浸潤性小葉癌の細胞診
細胞量と細胞異型について
森 一郎前川 観世子谷口 恵美子鍵弥 朋子布引 治唐 衛華中村 靖司覚道 健一吉村 吾郎桜井 武雄
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2002 年 41 巻 6 号 p. 394-398

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抄録

目的:乳腺小葉癌の細胞像を明らかにする.
方法:409例の乳癌切除例を再検討し, 10例の浸潤性小葉癌を見出した. これらの術前穿刺細胞診パパニコロウ染色標本を再検討した.
成績:今回の10例はすべてが悪性 (クラスIV, V) と診断されており, 細胞少数のため診断不能が1例あったが, クラスIIIや誤陰性例は認められなかった. 細胞像は, 教科書的な線状配列や細胞質小腺腔を確認できたものはそれぞれ1例, 2例と少なかった. しかし, 筋上皮が認められないこと, 細胞集塊の疎結合性と異常, 核クロマチンの増量と分布の異常を認めた.
結論:細胞が多く得られた標本では, 核のクロマチンの異常に着目することと, 細胞集塊の異常と筋上皮の有無に着目することにより, 悪性の診断は, 多くの場合可能と考えられる. しかし, 小葉癌の典型的細胞所見はまれであり, 乳管癌との区別をすることは実際的には困難と考えた.

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