日本臨床細胞学会雑誌
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Azur顆粒を認めた胃MALTリンパ腫の1例
鶴田 誠司野本 豊新保 千春根岸 春美新井 華子飯島 美砂小島 勝鈴木 豊
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2003 年 42 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

背景: 細胞質内にazur顆粒を有する胃原発のmarginal zone B-cell lymphomaを経験したので報告した.
症例: 66歳, 男性. 下痢, 食欲不振を主訴とし当院内科受診. 胃内視鏡生検にて悪性リンパ腫の診断. 胃噴門側切除術が行われた. 術中に行われた捺印細胞標本を観察した. 中型の腫瘍細胞が単調に出現していた. 小リンパ球, 類形質細胞, 形質細胞が少数混在していた. 細胞質はPa-panicolaou (Pap.) 染色で淡明, Giemsa染色では弱塩基性であった. またGiemsa染色にて細胞質内にazur顆粒を認めた. Azur顆粒は約21%の細胞に認められた. 核はくびれており, Pap. 標本では明瞭な核縁が認められた. 核小体は明瞭で核に比べ大型で, 上一つのものが多かった. クロマチン凝集は小リンパ球に比べ軽度であった. 免疫組織化学により腫瘍細胞はCD20cy, CD79a陽性, cCD3, CD5, CD10, CD23, CD45RO, Granzime B陰性であった.
結論: Azur顆粒を有する腫瘍細胞が出現する悪性リンパ腫は, NK細胞およびT細胞由来のリンパ腫がよく知られている. 一方B細胞性リンパ腫においてもまれにazur顆粒を認める症例があることも念頭に置き, クロマチンパターンや核型など細胞像を総合的に判断し, 診断を進めていくことが重要であると思われた.

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