日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
髄液細胞診で診断した卵巣癌による癌性髄膜炎の1例
添田 周森村 豊小野 次子橋本 歳洋大和田 真人山田 秀和柳田 薫佐藤 章
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 42 巻 2 号 p. 112-115

詳細
抄録

背景:卵巣癌による癌性髄膜炎はきわめてまれである.今回われわれは, 髄液細胞診で診断し, 剖検にて確認された卵巣癌による癌性髄膜炎の1例を経験したので報告する.
症例:54歳, 女性.近医で卵巣腫瘍と診断され当科を受診した.超音波, 骨盤CT上卵巣癌が疑われ手術を施行した.卵巣類内膜腺癌 (stage III c) の診断でTJ療法 (paclitaxel 250mg, carboplatin650mg) を施行中, CA19-9の再上昇を認め, EAP療法 (etoposide 140mg×3days, adriamycin35mg×2days, cisplatin 56mg×2days) に変更した.しかし, 経過中痙攣が高頻度に出現するようになった.頭部CTに異常所見を認めなかったが, 脳脊髄液細胞診にて悪性腺細胞を認め, 癌性髄膜炎と診断された.methotrexateの髄腔内投与 (10mg/回) を施行したが奏効せず, 術後4ヵ月目に死亡した.
結論:頭痛, 痙攣などの神経学的所見を認めた場合には, 髄膜刺激症状を認めない場合でも, 頭部の画像的検査とともに髄液細胞診を行うことが, 癌性髄膜炎の早期診断に有用である8) .

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top