日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
子宮頸部円錐切除後に出現する頸管腺異型細胞の検討
大沼 眞喜子田勢 亨佐藤 郁郎加藤 浩之植木 美幸阿部 美和矢崎 知子松永 弦鹿野 和男立野 紘雄
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 42 巻 3 号 p. 185-190

詳細
抄録

目的:子宮頸部円錐切除後にみられた頸管腺異型細胞の特徴と臨床的意義について検討した.
方法:対象は1994~2000年に子宮頸部円錐切除術を施行した43例である. 術後経過観察中に子宮腟部スパーテル擦過および頸管ブラシで採取した標本で, 頸管腺異型細胞の有無とその異型像, 出現時期および上皮内腺癌との鑑別等を調べた.
成績:術後の頸管腺異型細胞は高頻度で認め, 出現は一過性より持続性が多かつた. 標本背景は清, 出現形式は柵状とシート状が大部分で, 柵状集塊の核には重積性や配列の乱れが認められた.
胞体はライトグリーン好性, 核形は楕円形で核縁肥厚はなかった. 核過染性は軽度から中等度, クロマチンは細網状, 細顆粒状で均等に分布していた. 症例の44%に子宮内膜の腺細胞や間質細胞が認められた.
結論:子宮頸部円錐切除後の頸管腺異型細胞は腺異形成や卵管上皮化生, 再生上皮に類似し, AGUS (atypical glandular cells of undetermined significance) の範疇に属すると考えた. 細胞集塊の形状では, 上皮内腺癌と鑑別困難なものもあるが, 上皮内腺癌でみられる核腫大や粗クロマチン, 核縁肥厚, 核分裂像はなく, 細胞異型により両者の鑑別は可能であった. 子宮内膜細胞の存在はこれらの診断の手助けとなった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
次の記事
feedback
Top