日本臨床細胞学会雑誌
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高分化型脂肪肉腫の細胞像と診断上の問題点
島田 智子小島 貴赤嶺 亮河野 純一石井 美樹子田中 文彦
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2003 年 42 巻 3 号 p. 218-223

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抄録

目的:高分化型脂肪肉腫の細胞学的特徴を明らかにし, さらに脱分化型脂肪肉腫の細胞像および脂肪腫との鑑別点についても検討した.
方法:穿刺吸引細胞診を行った高分化型脂肪肉腫 (脂肪腫類似型) 5例, 脱分化型脂肪肉腫2例, 大型の脂肪腫6例について, Papanicolaou染色およびMay-GrUenwald Giemsa染色標本を用いて, 細胞学的特徴を検討した.
成績:脂肪肉腫7例すべてに, 2核の異型細胞が出現しており, 高分化型脂肪肉腫の細胞学的特徴と考えられた. May-Gruenwald Giemsa染色標本では, この2核細胞は裸核状を呈することが多いが, ときに細胞質内に空胞を認めた. 一方, 大型の異型多核細胞が高分化型3例, 脱分化型2例にみられた. 脂肪腫6例中2例にも少数の異型多核細胞を認めたが, 高分化型脂肪肉腫にみられるものに比べ異型性の程度はより軽微であった.
結論:高分化型脂肪肉腫および脱分化型脂肪肉腫7例すべてにみられた2核細胞は, これらの細胞学的診断に有用な所見であると思われた. しかし, 脂肪腫の2例にもわずかに出現しており, 組織学的にも同様の所見であったこの2例は厳重なfollow upを必要とすると考えられる.細胞診断において, 2核および大型多核異型細胞の有無のみで高分化型脂肪肉腫と診断するのではなく, 脂肪腫においても出現する可能性を考慮に入れて診断することが重要である.

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