日本臨床細胞学会雑誌
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若年者の乳腺に発生した血管肉腫の1例
西山 尚子西 国広八反田 洋一福田 敏郎
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2003 年 42 巻 3 号 p. 239-243

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抄録

背景:若年者の乳腺に原発した血管肉腫を経験し, その捺印細胞像を組織像との対比を含めて検索する機会を得たので報告する.
症例:患者は, 18歳女性, 左乳房の増大に気付くが放置. 7ヵ月後に急激な増大を認めたために当院受診. 乳房切除術が施行されたが, 再発を繰り返し術後9ヵ月に永眠した. 摘出標本の捺印細胞診における細胞学的特徴は,(1) 血管腔の形成を示唆する集塊,(2) ふさ (tuft) 状の乳頭状集塊,(3) N/C比の高い未分化な細胞集塊,(4) 核の抱き込み像,(5) 腺癌様の細胞集塊であり, 病理学的に血管肉腫と診断された.
結論:血管肉腫は他の非上皮性腫瘍と同様にきわめて多彩な細胞像を示し, その診断は困難とされるが, 臨床情報も併せて総合的に判断することにより適確な診断も可能と考えられた.

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