日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部異形成の自然史
病変の進行とHPVおよびテロメラーゼとの関連
横山 正俊原 浩一内山 倫子野口 光代小屋松 安子安永 牧生福田 耕一岩坂 剛
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2003 年 42 巻 5 号 p. 384-389

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抄録

目的:子宮頸癌発癌機構におけるHPVの役割を確認する. また, テロメラーゼ活性との関係も検討する.
方法:CIN, および子宮頸癌症例についてコンセンサスプライマーを用いたPCRによりHPVの型判定およびfollow up studyを行った. 次に, 子宮頸癌集団検診グループ, CIN, 浸潤癌症例のそれぞれにTRAPアッセイを行い, テロメラーゼ活性を調べた. テロメラーゼ陽性で細胞診陰性であった16例について, 病変およびHPVの有無について再検討した.
成績:HPV-DNAの検出率は, CINおよび浸潤癌において, 80-90%であった. また, CINの程度が進むにしたがって, 検出されるHPVの型は, 浸潤癌と同様になった. HPV negative症例は, 進行する危険度が高いことが示された. 臨床検体においてCINの段階が進むにしたがってテロメラーゼ活性陽性頻度は上昇した. また, 細胞診陰性の検診集団のなかに16例 (6.5%) のテロメラーゼ活性陽性例があり, うち9例 (56.2%) にHPV-DNAを認めた. また, 組織診の結果, 新たに9例のCINIが同定された.
結論:HPVをその進行への相対危険度で分類することが可能だった. HPV negative症例は, 進行する危険度が高い可能性が示唆された. テロメラーゼ活性とハイリスク型HPVとの関連が示唆され, 細胞診陰性群にもriskの高い症例が含まれている可能性が考えられた.

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